ロマサガ2、32周年おめでとう!にかこつけてBGMの話する

今年もやって参りましたわよ!!!!!!!
ロマサガ2の発売記念日!
32周年!ということは32年も前にこの歴史的ゲームが発売されたということ……
そしてその当時は私はなにも知りませんでした。
まあその頃はゲームを出来なかったので当たり前なのですけれど。

周年をお祝いするようになってから、それにかこつけて個人的な思い出話や解釈についてを書いてきておりますが、もうここまできたら開き直ってとにかくロマサガ2に関することを書く機会にします!

ということで、今年はゲームを彩りあの世界のすべてを補強しプレイヤーに届けてくれるBGM……ロマサガ2の音楽についてを書きます。

サガシリーズの音楽といえばイトケン。
イトケンといえばサガ。

昨今はイトケン関連の各種コンサートに足を運んでいるため「おしゃべり楽しい方」というイメージがだいぶある。(来年2月のライブも行きます!)(ご存知無い方は要チェック!)(まだチケット買えますよ!)( サイト→ https://www.itoken35thlive.com

ロマサガ2に触れる前はちょっとやったロマサガ1の下水道のイメージがやっぱり強かった。
あとはポップンミュージック(ゲーセンに置いてある音ゲー)を嗜むタイプのオタクなのですが、ゲーセンに通っていた当時新曲として収録された曲、『バトルXIII』が、「なんか好みだな〜」と思ったらイトケン作曲だった、などの思い出もあります。

色々と曲自体を見渡せば幅広くツボをついてくる曲たち。

その中でロマサガ2で特に印象に残っている曲、単純に好きな曲、物語としての曲をいくつかピックアップして語らせてください。

プロローグー七英雄の伝説ー〜オープニングタイトル

SFC時代、オープニングを食い入るように眺めていたあの頃を思い出してHDリマスター版をやった当時、このプロローグからオープニングに入るのが大好きでした。もちろん今も。
一曲の中に伝説が語られ、その語りに合わせるようにして曲が平和から破滅、時代の移り変わりを語るのはもちろんゲーム画面も相まってのものですが、それにしたってここまで文章で語られていない「なぜ」が音に潜んでいる。
「なぜ」七英雄は来ないのか
「なぜ」七英雄はまるで敵のような姿をしているのか
「なぜ」ひとびとは七英雄をそこまで盲目的に望むのか
「なぜ」、プロローグの終わりにこんなに寂しそうな旋律がするのか。

不穏と神秘性を語る伝説。
「英雄」を待ち望んでいる民たちの希望の尾が細く手を伸ばすよう紡がれて、訪れている平穏を穏やかに奏でる。
それも突然壊され、忍び寄る足音が破滅への序章を語るよう徐々に徐々に不穏な音楽を奏でていき、不安を示すような禍々しさの隠せない曲へと繋がり戦闘へ突入する。
そして絶たれる音。
また不穏な音と共に、異形のシルエットが浮かび悲劇を匂わせる音楽。
「何があったのだろうか」
その疑問を持ちながらも、繋がるのはロマサガといえばのオープニングタイトルだ。
物語の始まりにふさわしい爽やかな響きはこれからの冒険を思わせ壮大な、世界の広がりすらも感じるどこまでも広い、広い音楽は果てしないまだ見ていない世界に思いを馳せる。
この曲を聞けば「ああ、はじまる」と強く思う。
言葉になんて出来ない「わくわくとしたきもち」は、きっと子どものころから変わってなんていないんだろう。
ただ目の前に飛び込んでくる「知らない世界」を思って、これから起こる「知らない何か」そして、「たどり着く最後」までを一瞬だけ考えてスタートボタンを押す。
ゲームのはじまりはいつだって、どきどきして、わくわくして、私を子どもに返してくれる。
音楽は私をこどもに返してくれる一番最初の旅の仲間。
そしてそれからずっとずっと、耳へと届く世界のすべてだ。

遥かなる戦いの詩

もし万が一、ロマサガ2で好きな曲を一曲だけ選べと言われたら唇をギリギリと噛み締めながら選出するのが「遥かなる戦いの詩」だと思う。(もちろん選ぶのは至難の業だからそんなことはしたくないが)
私はこの曲のタイトルを初めて目にした時、なんて美しい曲の名だろう、と思った。
曲名を知ったのはクリアをしたあとだったのでその詩的な響きはそのままじわりと染み込むように私に入っていき、続いた戦いの先、そのひとつの終わりへとたどり着いたその時だからこそこの曲名が何よりも美しく思えた。
それこそ、”遥かなる戦い”を終えたその時だからこそ、「こんなにもぴたりと、短い言葉であの長い歴史を紡げるのか」と感激したのだ。
“遥かなる戦い”だ。たしかにそうだ。それを紡いだ詩人のうたを聞いていただけなのだ。
美しい。美しい、という以外に言葉が見つからない。
元々好きな曲ではあったけれど、この曲名を知ったからこそさらに、ずっと、とても深い場所まで楔を打ち込まれたような衝撃を受けて大好きになった曲でした。

曲名を知らずとも、物語としてこの曲はどうやったって脳に染み付いていることだろう。
やっと始まったゲームのはじまり、詩人が紡ぐ”うた”の口上。
脳内に描かれるのは詩人の弦を爪弾くすらりとした指先。
ぴたっととまる酒場の音から静かに静かに響いていくあのシーンは吸い込まれるように魅入ってしまったシーンだ。
この曲はとても短い。
悲しげとも繊細とも静かとも言える旋律を紡ぎ物語は帝国暦1000年の”あの時”へと飛ぶ。
(そして最後に帰ってくる)

短くとも色濃く、だからこそ鮮烈に、ロマンシング サ・ガ2 というゲームを語る上で外すことの出来ない曲だと力説したい。

……いや、まあ、私が言わずとも、もちろん多くの方の心にそれぞれ響いているとは思うけれど、でも、言いたいじゃん……!
急に安っぽくなったな……すみません……

帝都アバロン

この曲は、最初は語るつもりはありませんでした。
でも!でもですよ!遡ること3年前の11月。「オニオン弦楽合奏団」さまの第十回演奏会にてこの曲を聞いた時にそれまでは考えなかったことが浮かび上がってきたんです。
それはレオンを表すのに街の音楽……すなわち「帝都アバロン」が響くことで「皇帝レオンとは、国なのだ」と強く印象付けられました。
「国」というものは「形があり」「形のない」ものです。それは時に不明瞭。所属していても改めて考えることは少ないし、帰属意識もあまりない。
だから考える時にとても不明瞭でイメージのし辛さがある。
けれどあの演奏会を聞いた時、「皇帝レオン」を演奏した章で「帝都アバロン」が流れた時、「ああ、皇帝とは国なのだ」とひと息に解らされました。
文章では何も伝わらないでしょう。私もあの時の音楽を聞いたからただそう書けるけれど、実感を持ってこれに同意いただくのはかなり難しいと思います。
けれど「帝都アバロン」はバレンヌ帝国、皇帝の坐す町で、その町を形作るのは皇帝です。
だからこそ「帝都アバロン」の音楽は皇帝そのもの。この町をかたどる全ては皇帝に集約される。
それが音楽で紡がれている。
そのことが、やっとわかったのです。
それからずっとこの曲は時に勇壮、時に繊細、時に悲しく、時に雄々しく、私の中に響くのです。
その時に戴く皇帝の姿によって変わる旋律が。

皇帝出陣

ある意味でタイトルにギャップがある曲第一位。
いや、ジェラール様のゴブリン討伐へと御出陣されるあのシーンではもちろんぴったりですが、「ルドンで聞いた」という方を思い出される方も少なくないよな、という曲だとどうしてもメタ的に思ってしまい……。
とはいえ、やはり一番はあの出陣の折の勇壮なシーンを彩る音楽としてが好きなのです。
緊張感を持って、それでも勇ましく出陣する姿。
決意の宿る横顔、託された未来を握りしめる拳、背負う使命。
それが全てのしかかるのをものともせず前進する姿を表すような音楽。
これはジェラールという第二皇子が皇帝となる羽化を彩る音楽であり、後ろを振り返ることなく前を見据える瞳の音楽。
タイトルには入っておらずとも、私にとってこの曲は「ジェラールのテーマ」なのです。

全滅のテーマ

あのォ!私これ、「継承のテーマ」だと思ってたんですよ!!!!!!!!!
でも曲名見て目ェかっぴらいて「嘘ォ!」と叫んだ曲名ナンバーワンなんですよね!!!!!!!wwwww
いや、たしかに全滅の時も流れますけど、ゲームをやってて多分初めてまともに聞く時ってジェラール様がレオン様から伝承法について聞き、決意を問われ、涙なしには見れない継承を見守る時じゃないですか。そして皇帝出陣へと繋がるという……そんなエモいシーンのBGMの!!!!!!!!曲名が!!!!!!!!!全滅のテーマて!!!!!!!!
いや合ってるんだけど……合ってるんだけど……wwwww
個人的には「継承のテーマ」として聞いています。
皇帝から皇帝へと紡がれ託されるテーマ曲。
哀愁のある響きなのは確かに死を連想させますが、継承を思えば荘厳なイメージも同居します。儀式めいた響きはやっぱりどのようなきっかけであれ「継承」されるその瞬間の音楽として物語を見せてくれるのです。

ラストバトル

急に最後に飛んですみません。キリが無さすぎたのと12/10のうちにちゃんと投稿したいという欲が出て一気に最後まで行っちゃった……。

気を取り直してラストバトル。

以前書いたサガオケの感想ブログ(だけでなくいろんなところで何回も言ってるかも)でも触れましたが、私はこのラストバトルが「静かに始まる」ことが何よりも好きで、だからこそ悲しく憂いを帯び、けれど戻れない、戻らないと決めた最後の戦いへと身を投じる物語のにおいを「曲自体が」こんなにも訴えかけてくるのって無いと思うのです。
七英雄と皇帝の長きに渡る戦い、その果てで互いの因縁の存在と相見える時。
出会い方が違えば、時代が違えば、何かが違えば、対立する存在ではなかったかもしれない、けれど、その場所でまみえたならば剣を取るしかなくどちらかが倒れるまで続く、決着を付けるための戦いのあの場所で……流れる音楽があんなに静かに始まるのです。
ほんの少しあるかもしれない誰かの躊躇い、それでも、倒すべき存在を倒さねばならぬという脈々と受け継がれてきた決意の先の意志がうねりとなって戻れない戦いへと進み加速していく……
一進一退する攻防を描くような音楽は実際の戦いをも描いているように感じとります。
勇猛な攻撃、受け流し機会を伺うような渦、どう攻め込むか思案する思考。それらが音楽として響いている。
とはいっても、結局私はこの「ラストバトル」でどうしてもあの始まり方にばかり目がいってしまう。だって、何度考えても「ラストバトル」が静かに始まるというその落差はどうやってもただの単純な戦闘とはかけ離れたものを感じさせて考えずにはいられないのだ。
このラストバトルの「しずか」な部分を書こうとすると毎回違うものが出てくるようで根っこの部分は同じのようなことを書こうとしています。
戦いの音楽なのに、始まりがしずかなこと。
たったそれだけのことで筆舌に尽くし難い幾千幾万の人々の感情と物語が折り重なって襲ってきます。
それはこの音楽が「ラストバトル」であるが故なのでしょう。
ゲームのプレイ時間と共鳴して、それまでに紡いだ物語たちが語ってくる。
そしてこれが最後、と。

そしてラストバトルを終えた時。
響く断末魔に振り返る皇帝の姿を見て、息を吐くその時まで、響き続けるラストバトルは数多の感情をそこに呼び起こしていくのです。(曲だけの話にはどうしてもやっぱり出来づらい……)

エンディングテーマ

RPGにおいて、エンディングテーマはやはりどうやっても外せない音楽です。
戦いの終わり、寂しさも乗せながらもこれからの明るさを感じさせるような音楽とこれまでの戦いの苦楽をないまぜにした重厚な響き、そして凱旋を思わせる勇ましく堂々とした旋律はこれからの未来への希望あふるる光を感じさせるのです。
スタッフロールとともに「何その知らない技」というのに驚いていたプレイしていた時を思い出し……オープニングタイトルへと戻るそのお約束ながらも熱い構成には盛大なる拍手をしたくなる。
やはり最後にもこれ聞かないといけないんですよねェ!
それぞれのゲームにあるメインタイトルと言っていい音楽は、どうやってもプレイヤーの心に深く根付いている。
終わりにふさわしい響きを残して。

ちょうどいま、公式のスクエニミュージックでやっているぶっ通しライブ配信を聞きながらこれを書きました。
なので「歴代皇帝」や「エピローグ」ももちろん語りたい。語りたいけれど……「音楽」として語るにはちょっと違うニュアンスが濃くなってしまうので、書きませんでした。
でもやっぱり、やっぱり、ラストバトル〜エンディングテーマ〜歴代皇帝〜エピローグの流れはどう足掻いても最高の構成だよ……!
RPGとしての物語を辿るそれらの音楽は初めてクリアしたあの時の自分の高揚と達成感、終わってしまう寂しさが全部混ざってぐちゃぐちゃになって、それでも、残っている爽やかな気持ちがすうっと通り過ぎていったことを思い出させる。

ゲーム音楽は、ゲームをプレイしてこそその真価を発揮します。いや、もちろん音楽だけでも素晴らしいものなのだけど、付随する物語があるからこそ響き方が変わってくる。

なかなか倒せなかったボス、嫌になるくらい迷ったダンジョン、通常戦闘ですら恐ろしいアリ、継承のドラマ、無念にも散った皇帝と受け継ぐ皇帝の決意、七英雄がどこにいるかわかんなくて何度も行き来した町、異国の町で出会うひとびと、火山のふしぎな人々と明らかに怪しい人物、どう足掻いても硬い「岩」、シンボルを避けられ無さすぎて嫌になった砂漠、とかとか。

何度も聞いたり印象的なイベントで聞いたからこそ忘れられなかったりするこれらの音楽はやっぱり「ゲーム音楽」だからこそで、聞いた時に思い出されるのはゲームのできごとやそれに心震わされた当時の自分、そして今も好きだと噛み締める自分。

一部には有名なので引用させていただくが、ドラクエシリーズの音楽でおなじみのすぎやまこういち先生はこう述べている。

でも、ゲーム音楽に親しんできた人ならばきっとこの言葉通りでなくとも実感として持っていたんじゃないだろうか。
私はそうだった。
“あのとき”に連れて行ってくれる音楽はずっとずっと自分の中で流れている。

そして今、多少は色々書けることも多くなった。
だからこそ音楽から物語を見出し、見える世界も多くなった。
その中でロマサガ2の音楽はロマサガ2自体を、というか、あの歴史を紡いでいる音楽であると前にも増して感じる。
もちろんロマサガ2に限ったことではなく、ゲーム音楽はそうした面が強いだろう。
それでも、多くのことに気づくようになったのはロマサガ2の音楽からだった。

32年前の今日、その歴史が紡がれ始めて今にいたっている。
あの時に鳴り始めた音楽。世界に響き始めた音楽。
あの頃はまだ「子どもむけ」とある種馬鹿にされるような風潮にあったそれが今世界的な評価を得ている。
32年という月日はそれだけの月日。
そして今もまだ新鮮な響きを伴い私にあの世界の空気を匂いをひとびとの顔を国の攻防を届けてきてくれる。
物語の旋律、いつまでも鳴り響く帝国史に寄り添う曲たちを旅の友にして何度でもあの世界を歩くだろう。
偉大なる音楽たち、その響きがこれから先も長く紡がれますように。

あの時の酒場で詩人がつま弾いた旋律は、今なおどこかで響いている。
それは私の胸の中、そして誰かの胸の中。
そして未来のだれかの中に。

ロマサガ2、32周年おめでとう!

じゅうぶんおとな。