ねがいのかなうころ
「許されるのかな」
「誰にです」
「君に」
はらはらと頬を濡らしやまない滴はそのまま流れ落ちジュウベイの手をも濡らしていく。
その頬にある手に思わず一度力を込め、すぐに解けさせた。
「……その願いを、私(わたくし)も叶えたいと言ったらどうされます」
見開かれた蒼穹の瞳は、更にその滴を溢れさせ、くしゃりと崩れた顔は子どものよう。口から零れた嗚咽は次第に大きくなり、彼は子供に還ったように泣き続けた。
ジュウベイはただじっとその目を拭う。
溢れて溢れて止まらないその涙が、皇帝の姿でない彼自身がやっと泣けた証なのだと。そう思えたから。
抱き寄せて腕の中に閉じ込める。
「好きなだけ泣け」
止まった時間を取り戻すように、彼は泣き続ける。
その姿を見ることを許されたジュウベイは、じっとその背を撫で続ける。銀のつむじを見下ろしながら。
ぽんすけさんのこちらの絵が元です。